ガラスの靴をもう一度



「どうして?」

「それは…」

この会社に入社したのは、雅貴がいるから。

それが分かったからなんだけど…。

それを川上くんに伝えるのは、仕事を正式に辞めてから。

きちんと雅貴との繋がりをなくしてから、話すつもりだった。

「いや、いいよ。言わなくて。だけど、本当に嬉しい。萌ちゃんとニューヨークに行けれるなら、どんな事でも頑張れそうな気がするよ」

空気を読み会話を終わらせた川上くんは、穏やかに微笑んだ。

これでいい。

これが、私の待っていた未来だったんだと。

そう思うから…。