「それじゃ、今度は気をつけて」
雅貴は笑顔を向けると、腕時計をチラッと見て、崇史さんと足早に出て行った。
「良かったね、萌ちゃん」
雅貴が出て行ったドアを見つめる私の背後から、川上くんが優しく声をかけてきた。
「うん。本当、良かった。社長たち、これからどこに行くのかな?」
「たぶん、得意先の接待じゃないか?麻生さんが、そう言っていたのを聞いたけど」
「そう…」
接待に麻生さんが一緒だなんて、雅貴にとっては仕事上でも大切なパートナーって事なんだ。
そういう私は結局、パートナーになりきれなかった。
プライベートでも、仕事でも…。

