「きゃー!」
慌てて転がる荷物を拾う私に、川上くんも手伝ってくれた。
「ごめんね、川上くん」
「いや、いいんだよ」
笑いを堪えるように、川上くんはぶちまけた私物を拾ってくれている。
必要以上に多い文房具や、替えのストッキング、それに間食用にストックしていたスナック菓子など、恥ずかしい物でいっぱいだ。
出入りする人たちの視線を感じながら拾っていると、さらに運が悪く、雅貴と崇史さんがエレベーターから降りてきたのだった。
いやー!
こんな恥ずかしい姿を見られるなんて。
きっと、呆れて素通りされるわ。
なるべく視線が合わない様に拾っていると、
「大丈夫か?」
雅貴も手伝ってくれたのだった。
その瞬間、“雅貴”って呼びそうになり、慌てて言葉を飲み込んだ。

