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川上くんとの夜のデートが、定番になりつつある。
手を握るぎこちなさは、なくなったけれど、キスはあの日以来していない。
もちろん、それ以上の関係も…。
きっと、川上くんは、私の気持ちに気を遣ってくれているんだ。
そう思うと、少しホッとする自分と、申し訳なく思う自分がいて嫌になる。
そして今夜も、仕事帰りはデートの予定で、時間を合わせて会社を出る事にしたのだった。
「萌ちゃん、今日は荷物が多いね?どうしたんだよ。その紙袋」
「ああ、これ?実はね、私会社を辞める事にして。持って帰れる荷物を、少しずつ整理してるの」
「えっ!?辞める!?」
驚く川上くんに、私は紙袋を持ち上げて見せた。
と、その瞬間、重みで袋の取っ手が破れてしまった。
しかも運悪くその勢いで袋全体も破れてしまい、ロビーに荷物をぶちまけてしまったのだった。

