すると、麻生さんはまるで見下す様な目をした。
顔を上げ、ほんの少し目を細めている。
「いつかは、意味が分かると思うけど。だけどそれじゃ、もう遅いだろうけどね」
それだけ言うと、速い歩調でエレベーターへと向かったのだった。
何よあれ。
何が言いたいの?
せっかく治まったイライラが、またやってきたじゃない。
意味を知った時は遅いって何?
雅貴とヨリを戻す余裕から、あんな挑発的な言い方をするの?
「わけ分かんない」
お手洗いに着き、鏡越しに見た私の顔は、“可愛い”とは程遠い、鬼の様な形相をしていたのだった。

