「心配事を持たせたくなかった?」
「うん。男は女の子に格好つけたい生き物なんだよ。年上の人なら、きっと自分が萌ちゃんを守るって、そういうプライドみたいな気持ちはあったと思う」
だからなの?
だから、仕事の愚痴も何もかも、私には話してくれなかったって事?
「萌ちゃんが今日、誘ってくれて嬉しかった。俺の事を知ろうとしてくれたのが分かったから、話したってのもあるよ」
「川上くん、買い被らないで。私は、まだ自分の気持ちが分からなくて…」
雅貴への気持ちは、そんな簡単にはなくならない。
まして、本当の気持ちが分かったら私は…。
俯いてしまった私の手を、川上くんは優しく握った。
「それは当たり前だよ。簡単に決められない。そうやって、真剣に考えてくれるのが嬉しいから」

