ガラスの靴をもう一度



「川上くん、あのね…。私もずっと好きな人がいたの…」

「うん。気が付いてたよ」

「その人とは幼なじみで、ずっと一緒にいたから、隠し事が許せなくて…」

私は、川上くんに話しをしていた。

なぜだか分からないけれど、話さずにはいられない。

「隠し事って?」

「川上くんと同じ様な事。彼ね、私よりずっと年上だから、隠し事をされてるって分かった時、やっぱり私は妹の様な存在から抜け切れてないって、そう思っちゃった…」

すると、川上くんは優しく私の頭を撫でてくれた。

包み込む様に、大きな温かい手で…。

「彼の気持ちは分からないけれど、萌ちゃんを裏切るつもりは絶対になかったって思うよ。年上の人ならなおさら、萌ちゃんに余計な心配事を持たせたくなかったんじゃないかな?」