ガラスの靴をもう一度



「未練がないから隠すって事?」

「うん。あっ、納得してない顔だね」

「そりゃ、まあ…。だって、隠し事なんて嫌じゃない」

そう言うと、川上くんは困った様に眉を下げた。

「女の子は同じ様に思うのかな?俺としては、昔の恋人の話をする時点で、思い出を懐かしんでるって思うんだけどな」

「隠さず話す事が、吹っ切れてるって思うのに…」

「そうなのかなぁ。俺は、元カノを吹っ切って思い出にしてるからこそ、話さないんだけど。目の前の彼女だけしか、見てないからなんだけどなぁ」

目の前の彼女だけ…?

「それに話す事で、余計な心配を彼女にはかけさせたくないし。俺には、目の前の君だけだよって、そういうつもりだったのになぁ…」

まさか、雅貴もそんな風に思ってたとか?