雅貴は、本当に私を好きだったの?
一人の女として、私を見てくれてた?
落ち込む私の肩を、崇史さんは優しく叩いた。
「きっかけは許せないかもしれない。だけど、あいつにとって、萌ちゃんがどういう存在か、ちゃんと聞いてみなよ。そうすれば、麻生が雅貴に別れを言った理由も分かるから」
「そういう言い方をするって事は、崇史さんは知ってるんですね?」
「まあ、一応。だけど、本人から直接…」
「もういいです。今さら聞いたって遅いし」
これで分かった。
雅貴にとって私は、妹以上の意味はない。
いつだって雅貴を慕う、都合のいい女だったんだわ。

