ガラスの靴をもう一度



「また、それですか。私は話し合おうと思いました。だけど、最後まで隠し通そうとしたのは雅貴です」

もし、私がメールを見なかったら、麻生さんとのキスを目撃しなかったら…。

今でも誤魔化されたまま、私は雅貴と一緒にいたって事なのよ?

「雅貴にとって私は、妹の存在から完全に抜け出せなかったんです。いつだって、そうだったから。私には何も話さない。仕事の愚痴も実家が引っ越した事も、麻生さんとの間で気持ちが揺れ動いた事も…」

そうよ。

実家の事だって、後からお父さんに聞いて知っただけ。

お二人はどうやら、中心地のマンションに引っ越されたらしい。

会長であるお父さんは、ほとんど海外で過ごされているから、お母さんだけがマンションに住まわれてるみたい。

どうして、そういう話すらしてくれないのよ。