ガラスの靴をもう一度



それを聞く為に、わざわざこんな場所へ連れ込んだの?

「そうです。雅貴から聞いたんですよね?だったら詳しい事も、雅貴から聞いてください」

そう言って鍵を開けようとした時、その腕を掴まれた。

「どうして?どうして、雅貴と別れたんだよ」

「そんな事を、崇史さんに話す必要がありますか?」

最初から、私たちの付き合いには反対だったくせに。

別れて喜んでるのは、そっちでしょ?

「崇史さんの言った通りでした。私は雅貴に依存してた。世界の全てが雅貴で、いつの間にか、小さな事も許せなくなっていたんです」

そんな気持ちで側にいるのが、どれだけ苦しいか。

雅貴は優しいから、そんな私を受け入れてくれる。

だけどそれは、愛情で?

違う。

それは、“雅にぃ”だから。

“妹”である私を、拒めないだけなのよ。