ガラスの靴をもう一度



こうやって私たちは、何もなかった様に変わっていくんだね。

それを、少し寂しいと思うのはワガママで、慣れていかなきゃ。

雅貴の背中を見る事に、慣れていかなきゃ…。

部屋を出て行く雅貴の後ろ姿を見ると、胸はチクっと痛む。

心が苦しいって、こういう事を言うんだわ。

少しの切ない気持ちに蓋をした時、部屋を出る間際の崇史さんに声をかけられた。

「花井さん、少しいいですか?ついてきてもらって」

「は、はい…」

崇史さんからの誘いなんて、ロクでもないに決まってるわ。

大股で歩く崇史さんに、私は小走りでついて行った。