車を走らせた川上くんは、真っ直ぐに私を送ってくれた。
実家に帰っていて良かった。
何の引け目も感じず、送ってもらう事が出来たから。
「ありがとう、川上くん。また明日ね」
車を降りた私に、川上くんは助手席の窓を開け、笑顔を見せた。
「こっちこそ、本当にありがとう。また、誘ってもいいかな?萌ちゃんには、隠し事なく自分自身を知ってもらいたいから」
「え?隠し事なく…?」
それは、私が雅貴を信用出来なくなった理由。
隠し事をされたのが嫌だったから。
何を信じたらいいのか分からなくて、誰を大事に思ってるのか分からなくて…。
結局、“妹”から抜け出せてないと思ったから。