ガラスの靴をもう一度



雅にぃの優しい笑顔だけは変わらない。

穏やかな表情に、胸がキュンと締め付けられる。

「背は全然伸びなかったの。雅にぃは、大人の男の人って感じだね」

こうやっていると、兄妹以外に見えるはずもないか…。

「最後に会った時は、本当に子供って感じだったのにな。萌もすっかりお姉さんだよ」

「でしょ?少しは色気も出てきた?」

「アハハ。そうだな。8歳の頃よりは」

笑う雅にぃの腕に、自分の腕を絡ませる。

「行こうよ、雅にぃ。お帰り!」

「ただいま」

“妹”だから、出来る事もある。

腕を組む行為も、不自然じゃないもん。

憧れのお兄ちゃん。

私の、たった一人のお兄ちゃん…。