ガラスの靴をもう一度



川上くんの質問に、雅貴はテンポ良く答えている。

「そうなんですか。大変ですね」

さすがに川上くんも、雅貴が急いでいるのが分かっているのか、歩きながら話を続けていた。

「お車で行くんですか?」

雅貴が向かっている場所が駐車場だと分かり、川上くんは聞いている。

「そうだよ。今夜はそのまま直帰だから」

そうなんだ…。

今まで通り一緒にいれば、今夜は雅貴の帰りを待っているはずだったって事か。

忙しいのかな?

そういえば、新車が発売されたばかりだし、雅貴にしか分からない仕事があるんだわ。

思えば仕事の事は、全然話してくれなかったな。

愚痴くらい、こぼしてくれても良かったのに…。