ガラスの靴をもう一度



「整理?それなら何も別れなくても、距離を置くとかでいいだろ?昨日は勝手に出て行くし、携帯も繋がらない。会いに行っても拒否する。いくらなんでも、一方的過ぎるだろ?」

「一方的なのはどっちよ?実家のご両親が引っ越したのだって、教えてくれなかったじゃない。雅貴は隠し事が多すぎるのよ」

「それは…」

ほら、言葉に詰まる。

言わなかった理由すら言わないんじゃ、話にならない。

「私たち、“お兄ちゃんと妹”から、抜け出せてない気がする。それを、今になって気付いてしまった」

そう言うと、雅貴はさっきの勢いはどこへ行ったのか、肩をがっくりと落とした。

「萌は、俺から離れたいのか?」