社長室に来いって言われても…。
受話器をゆっくり置くと、原田さんが声をかけてきた。
「どうしたの?何の電話?」
まともに会話をしていない電話に、原田さんは不審がっている。
そりゃそうよね。
私なんて、“あ”しか言ってないもん。
「それが…、社長からで、社長室に来てくれって」
いくらなんでも、知らない振りをするわけにはいかないよね…。
「社長から?花ちゃん、いつもは喜んで行くじゃない」
「まあ、そうなんですけど…」
「変な花ちゃん」
原田さんはそう言って、パソコンに向かった。
仕方ない。
行くか…。
渋々立ち上がった時、川上くんと目が合った。

