卑怯だよ麻生さん…。

雅貴に未練を残させてまで別れた挙げ句、やっぱり好きだからまた現れるなんて。

「麻生さん、理由を言ってくれなかったの?」

「ああ。ただ、俺との未来が不安だったからって…。おかしいだろ?子供が出来てたら、未来は不安じゃなかったのかって事になる」

そして雅貴は、半ばヤケくそな口調で続けた。

「俺、その時思ったよ。優花が、本当に妊娠してくれてれば良かったのにって」

「そう…」

私の中で、何かが崩れ落ちていく。

それは何?

「だけど、それも全部過去の話だよ。萌に不安な思いをさせた事や、傷つけた事は謝る。だから萌、もう川上とは関わらないでくれよ」

そう言うと私を抱き寄せ、キスをした。