ガラスの靴をもう一度



ひとつひとつ、ゆっくりと話す雅貴の表情は疲れ切っている。

そして私は、涙すら出てこなくなっていた。

「妊娠騒動は、プロポーズのきっかけになったんだ。ただ、最初は受けてくれたプロポーズを、妊娠が違ったってだけで拒んだ事にずっと納得がいかなくてさ」

「それだけ雅貴は、麻生さんが好きだったって事じゃない」

そう言うと、雅貴は苦笑いをした。

「それは、許してくれよ。萌と最後に会った時は、まだ8歳だったんだぞ?8歳の女の子に、恋愛感情は抱けないだろ?」

「それは、そうだけど…」

確かに、18歳の雅貴が恋する相手じゃないわね…。

「俺は、優花を心底好きだった。だから、きちんとした理由を言わないで別れられて、ずっと気持ちを引きずっていたのは間違いないよ」