「怒れないよ。そんな風にするくらい、最初から優花との事を疑ってたんだろ?それは、俺が悪いんだから」
何よ、その潔さ。
「怒ってよ!どうして、いつも優しいの!?私は悪い事をしたんだよ?私とぶつかってよ!」
いつまで、私は雅貴の“妹”なのよ。
結局、心の底では妹から抜け出せていないんだ。
10歳も年下の私を、雅貴は一人の女性として、見てくれてないんじゃないの?
「雅貴はズルイよ!そうやって逃げるの?だから、麻生さんには言えても、私には言えないんでしょ?結婚って言葉を!」
感情が高ぶって、雅貴の胸倉を掴んでしまった。
そして、その手を振り払うでもなく、雅貴も声を荒げて言ったのだった。
「優花から、妊娠したかもって言われてたんだ!そういう事情もあったんだよ!」

