私が聞くと、雅貴はいたって普通に答えた。 「仕事だよ」 「仕事…?一人で?」 「ああ、もちろん」 嘘…。 何で嘘をつくの? 「麻生さんは…?」 「え?麻生?いるわけないだろ。何で?」 何でって、こっちが聞きたいよ。 どこまでも、私に隠すつもりなんだ。 雅貴は平気なの? 私に嘘をついて、雅貴は平気なの? すると、何事もないかの様に、雅貴の顔が近付いてきた。 キスされる…。 そう思った時、反射的に雅貴を押しのけていたのだった。 「やめて!」