ガラスの靴をもう一度



雅貴はソファーへ座ると、私を手招きした。

それに応える様に隣へ座ると、雅貴は小さく吹き出したのだった。

「萌、化粧崩れしてる」

そう言うと、テーブルに置いてあったクレンジングシートを取って、私の顔にあてた。

「ほら拭き取ろう。萌に、濃いメイクは似合わないよ」

優しく拭き取ってくれる雅貴は、今までの優しい雅貴と何ひとつ変わらない。

大丈夫、きっと話してくれるでしょ?

「そうだ。萌、メールの返事が出来なくてごめん。仕事が忙しくて、さっき気付いたんだ」

「そうなんだ。返事は別にいいよ。心配させちゃいけないと思って、連絡しただけだから」

微笑んだ私に、雅貴は言った。

「川上と行ったパーティーって、どんなやつだったんだ?」