マンションへ戻ると、雅貴の方が先に帰っていて驚いてしまった。
「お帰り、萌。思ったより早かったな」
いつもと変わらない様子で、雅貴は私を出迎えた。
どこか引き攣った作り笑いを浮かべているけれど、気まずくなって初めて今夜は、雅貴は私を見て微笑んでる。
あれから、すぐに帰ってきたんだ。
だったら、キス以上の事は何もなかったって事よね?
それなら、話せるでしょ?
隠す必要なんてないもん。
“不意打ちでキスされた”
そう言ってくれれば済むんだから。
メールの事もきちんと言う。
だから雅貴も話してよ。
崇史さんの言う通り、お互いを大事に想うなら、隠さず話そうよ。

