二人の会話に不安を覚えた私は、そっと様子を伺った。
麻生さんは今にも泣きそうな顔をしているし、雅貴は困惑した表情を浮かべている。
「勝手な事を言うなって。別れようと言ったのは優花だろ?それなのに、今さら俺と萌の邪魔をしに帰ってきたのかよ?」
「やめてよ。雅貴だって、私を忘れられなかったって言ってたでしょ?」
確かに。
それはメールで見たわ。
「過去形だろ?今は、優花との事は、ふっ切れてるよ」
「私の夢を見るのに?」
強気な態度で、麻生さんは雅貴に一歩近付いた。
その麻生さんを、雅貴は黙って見ている。
何か言わないの?
言ってよ…。

