「あっ、川上くん!」

私より一瞬早く、原田さんが手を振った。

それを見た川上くんも、苦笑いで手を振りかえす。

「萌ちゃん、原田さんに今夜の話をしたら、偶然行く予定だったらしいんだ。一緒に行こうって言われて…」

川上くんの説明に、わざと原田さんは嫌みぽく言った。

「ごめんね、お邪魔をして」

「いえ、別にいいです。だけど、原田さんも麻生さんからチケットを貰ったんですか?」

初めて知ったパーティーだったけど、原田さんも行くくらいだもん。

実は有名なものとか…?

「私は麻生さんからじゃないけど…」

どこか奥歯にモノが挟まった言い方で、歯切れが悪い。

だけど、今はそれどころじゃない。

川上くんに、いつ話をしよう…。