逃げてる?
「崇史さんに何が分かるんですか?」
分かったような口をきかれて、頭にきてしまった。
だから不満顔を向けたけれど、崇史さんはいたって冷静だ。
「だって二人とも、そのせいで傷ついてる。お互いの為と思ってやっていても、相手を傷つけてるんだよ」
「だったら、それが逃げてるって事になるんですか?大事に想い過ぎて、空回ってるだけじゃないですか!」
何を、崇史さん相手に熱くなってるんだろう。
だけど、言わずにいられなかった。
だって、まるで全てを見透かしてるかの様に言うんだもん。
私には、分からない事だらけなのに…。
すると、崇史さんも少し語気を強めたのだった。
「相手をもっと見ろって事だよ。傷ついてる事も分からないのか?」

