「どうしたの、萌ちゃん?ボーッとして」

「あっ、違うの。さすが川上くんだなぁって思って」

「何?急に。照れるじゃん」

川上くんは、握った私の手を離さないまま、照れ笑いを浮かべている。

私はその手を、ほどくことが出来ない。

例えば、普通の男の人と付き合っていたら、こんな感じだったのかな…。

なんて、どうしてこんな事を考えちゃうんだろう。

「川上くんて、営業トップを取ってるくらいの人だから、もっと仕事人間なのかと思ってた」

「え~?それは違ったって意味?だけど、けっこう野心な方だとは思うよ?来年は、絶対にアメリカに行きたいし」