「ごちそうさま~!」

「おう!また、おいで」

川上くんは、店主らしき人に挨拶をすると、私の手を引っ張り店を出た。

50代半ばに見えるその男性は、白いエプロンを身につけた、ガタイのいい色黒の人。

店を出る間際の私に、優しい眼差しを向けてくれたのだった。

「川上くん、お店の人と知り合いなの?」

「そう。いいオヤジさんでさ。数回通ったら仲良くなったんだよ」

「へぇ~」

さすが、川上くん。

営業トップを取った人だけあって、人間関係を築くのが上手なんだわ。

雅貴はどうなんだろう。

頭は良くて、素敵な人だけれど、そもそもこういう店には来ないか…。