「そ、それは…」

いないってウソをつけば済むけれど、それを言ったら川上くんに期待させてしまうんじゃ…。

答えに迷っていると、川上くんは眉を下げて苦笑いをした。

「好きな人はいるんだね?」

「えっ?あ、うん…。そうなの…」

ウソ、じゃない。

雅貴は好きな人だもん。

小さく頷くと、川上くんはグラスに残っていたビールを飲み干した。

「やっぱり。何となく分かってた。誰かなんて聞かないけど、俺にも入る余地はあるかな?」

「川上くん…」

どうしよう…。

どう答えればいい?