ガラスの靴をもう一度




さりげなく聞いてみたものの、雅貴はサラっと流すだけだった。

「ちょっとな。でも、萌が心配する事じゃないよ」

「そう…」

やっぱり、言ってくれないんだ。

それから家に着くまでの間、雅貴は一言も喋ってはくれなかった。

本当は私から言いたいくらいだったけれど、ここ最近、雅貴とケンカめいた事が多いからやめておいた。

これ以上、雰囲気を悪くする様な真似はしたくない。

だけど、思ってしまう。

二人の時間が増えるほど、不安や苛立ちも増えるのは何故なんだろうって。

そして、私の存在の意味も何だろうって…。