ガラスの靴をもう一度



雅貴が戻ってから、麻生さんも簡単にデスクを片付けている。

いつもは騒がしいオフィスも、今は私のキーボード音が響くだけ。

重苦しい空気を感じていると、麻生さんが声をかけてきた。

「大丈夫?資料作成に苦戦してるのかしら?」

「いえ、ちょっと別の仕事も立て込んでいたので。でも、もう終わりますから」

こんな事も出来ないなんて、思われたくない。

強がってみたけれど、麻生さんの苦笑いを見て、それが見抜かれたんだと分かった。

「それより、社長はどうかされたんですか?顔が疲れているみたいでしたけど…」