ガラスの靴をもう一度



妹…。

「じゃあ、母さん、萌。行ってくるね」

手を振る雅にぃに、振り返す事は出来なかった。

「雅にぃは、本当に王子様だったんだね」

私とは世界が違う王子様。

シンデレラの夢は、半分叶ったみたい。

お姫様の時間は終わって、元のみすぼらしいシンデレラに戻るの。

ただ違うところ。

それは、私がガラスの靴を持っていない事かな。

迎えに来てくれる王子様はいない…。

「萌~!」

下りのエレベーターから、姿が見えなくなるまで、雅にぃは手を振り続けていた。

でも、私はうつむくだけだった…。