「いや、そういうわけじゃないんだけど…」

我に返った様に、雅貴は肩を落とした。

「分かったわよ。迷惑なら、仕事の時は完全に割り切るし、転職したっていいから」

ひどいよ。

私は、少しでも雅貴の力になりたかったんだもん。

こうやって社長になる為に、6年間アメリカに行ってたんでしょ?

だから、私は雅貴と離れ離れになってたんだよ?

その時間を、少しでも埋めたかったんだもん。

6年間分を取り戻したかったんだもん。

涙がこぼれる私に、雅貴は力無く言った。

「ごめん。言い過ぎた。だけど、これだけは分かって欲しい。俺だって、萌が他の男といるのを見るのは、面白くないんだ」