「なるほど。萌さんに聞いて良かった。そういう事だったんですね」
お昼過ぎ、崇史さんに呼び出され、社長室へとやって来た。
部長に渡して欲しい資料があるからと言われたけど、本当のところは違っていた。
雅貴のご機嫌斜めの理由が、聞きたかったらしい。
「つい、調子に乗ってたら、雅貴のご機嫌を損ねちゃって」
その雅貴は会議で不在。
それを計算して、崇史さんは呼び出したんだと思う。
「社長もおとなげない。今日はずっと、仕事が手荒い上に、どうも突っ掛かってくるとは思っていました」
「そうなの?」
雅貴って、そんなに分かり易い人だったんだ。

