ガラスの靴をもう一度



「えっ!?」

やだ…。本気で怒っちゃった?

雅貴は速足でドアへ向かうと、乱暴に鍵を開けて出て行った。

「あっ、待って。資料…」

資料の為に居残ってるんだから。

「そんなもの無いよ」

背を向けたまま、雅貴は冷たく答える。

「え~?でも手ぶらだと、みんなに変に思われるよ」

「そんなのは適当に誤魔化せ」

そう言い捨てると、雅貴はエレベーターに乗り込み、社長室へと戻って行ったのだった。