「嫌よ」
『なんで?』
なんで?そんなこと決まってるじゃない。
「写真は、私のすべてだから」
夏の眸を見て、はっきりと告げる。
途端、『ふーん』と夏お得意のあの笑み。
嗚呼、だからその顔は狡い。
きっと夏は自分の魅力を十分に
わかっていてやっている。
そう、わかっているのに惹かれてしまう。
「っ…、私が…」
『ん?』
この時、確かに“恋”というものは
知らなかった。でも———。
「撮りたいと思ったら、撮る。それが…」
それが、例え夏だったとしても。
くすり、と。艶やかに微笑んでみせた夏は
私の頬に指先を滑らせて…
『そういうの、反則って知ってる?』
「っ…」
触れるだけの甘いキスを落とした。

