「どう…して、なんで…」



あの小さな猫が逃げた音がした。



『あれ?俺と会えて嬉しくないの?』

「…っ、答えて…」

『そんな怖い顔しないでよ』



今目の前で起こっていることは現実?
困ったように笑う彼は本物?

理解しようとはしない思考の反面
涙は勝手に流れてきて。



そのことが、どうしようもなく
これは“現実”なんだと突き付けてくる。



『…俺からも質問』


俺からも、だなんておかしな言い方。
彼はまだ何も答えてないのに。








『東先輩は、元気?』

「…っ、」


どうしてそんな風に、笑うの




—————…夏。