早く、早く。と人のいないところを探す。


広いキャンパス内では、どこも人で
溢れかえっていて中々見つからない。


でも、ぱっと広がった空間に
安堵の息を洩らす。


「あった…」


ほどよいくらいに植えられた青々とした
木々や花。


ぽつんとひとつ、ベンチが置かれていて、
陽の光が射し込むそこはとても暖かそう。


「こんな場所、あったんだ…」


何かに誘われるように一歩その空間に
足を踏み入れる。


吹く風に髪を押さえ眸を細めた。



————…その時。