「…、そういう訳じゃ、ない…よ」


上手く言葉が出てこない。

2人から見つめられると、余計に
追い込まれた気分にさせられる。

やめて、その眸は


———…とてもコワイ。



私の過去を知る由もない2人なのに、
それがバレてしまいそうな、そんな感覚。


彼を思い出すことは、
私には罪でしかないの。


だから、これ以上は…。


細微に震える両手で詰まる胸を押さえ、
彼女たちから眸を逸らそうとしたその時。


『あ、…終わった』


講義の終わりを告げるように
チャイムが鳴った。