『ん?』
「あ…」
しまった。つい、声が。
『なになに!?南波さんも興味ある!?』
急にぐるんと身体の向きを変えて後ろを
振り向いた彼女に驚いて身を引いてしまう
ナナミさん。
普段大学で名前を呼ばれることが少ない
私はそれだけで少したじろいでしまった。
「え、…あっと」
『こら、南波さんびっくりしてるから。
ごめんね、いきなり』
「あ、ううん。大丈夫」
どうやら彼女たちは私のことを
知っているようだった。
『ねえ!南波さんも知ってるの!?』
「え…?」
さっき注意を受けていた子が目を輝かせて
そう聞いてきた。
主語がないその質問にどう返せばいいか
困っていると。
『馬鹿。いきなりすぎ』
また、注意されていた。
その光景を見て、思わず苦笑い。

