———…大学までの道のりを
2人でゆっくりと歩く。


麗らかな春の陽射しを全身で感じる
この感覚が好き。


「ねえ、今日仕事は?」


ふと、思ったことを問いかける。


こう見えて莉央はカメラマンをしている。
しかも中々の人気があるらしい。


世も末だ。写真にはその人の性格が出ると
言われているのに、この男、
人が嫌がることを嬉々としてやってくる。


そんな彼は業界では有名らしい。
私は認めないけど。


でもまあ、莉央の写真、
嫌いじゃないけどね。

…なんてこんなこと、絶対本人には
言ってあげない。


『今日は、お昼から雑誌の撮影』

「そっか。じゃあ遅くなるね」

『うん、多分。帰る時は連絡する』

「はーい」