『あ、そういえば』 ふらっと立ち上がって私の目の前を 歩いた莉央から仄かに香るシトラス。 …彼からは、暖かいお日様のような、 優しい香りがしたことをふと思い出した。 香水は嫌い、と。 少し不機嫌そうに言った彼。 今でも、嫌いなのかな。 彼から香水の香りがするのはどうにも 想像ができなくて、なんだか可笑しくなり くすっと小さく笑って。 …直ぐに気が付いた。 「(嗚呼、違う)」 心がひやりと凍った。