「謝る気がないなら、謝らないで」


嘘つきな猫は、不機嫌である。


『そんなことないよ』


猫の飼い主、基、莉央は困った顔を
しながら私の顔を覗きこんで


「…っ、!」


『機嫌、直して?』


ちゅ、なんて。

ご丁寧にリップノイズまで響かせる
この男は中々どうして性格が悪い。


「い、きなり…」


目の前にある綺麗な顔を睨むけど


『顔真っ赤』


凄艶な笑みで私の不機嫌さなど
なかったものにしてしまう。


本当に、腹が立つ。