陽だまりに猫





『南波大丈夫?』


ぽん、と優しく頭を撫でてくれる彼。
こういうところが夏とは大違い。


「ビックリ…しました」

『だろうね』


苦笑いを浮かべる東先輩に頼りなく
笑ってみせる。


先輩が心配するようなことじゃないのに。なんて思いながらも、気を使ってくれる
ことが素直に嬉しくて乗せられた彼の手を
嫌がることはしなかった。



『先輩、触りすぎ』

「っ、…!」


横から伸びた長い腕が私の肩をぐっと
引いてそのまま私は夏の方に倒れ込む。


「…………………………は?」


突然の出来事に私はまた驚いて間抜けな
声を出してしまった。


そんな私をよそに夏と東先輩は…


『そんなに警戒しないでよ』

『別にしてませんけど』

『ほら、南波がまたビックリしてる』

『気安く名前呼ばないでくれます?』

『俺の後輩なんだけど』


なぜか私を挟んで言い合いを始める2人。
何してるの…この人たち。


はあ、と深いため息を吐く。


お互い何が気に入らないのか、それとも
元々性格が合わないのか…。

まあ、後者だろうけど。


兎に角、会う度にムダな言い合いを
繰り広げる彼ら。


『悠ちゃんモテモテだね』

「藤乃先輩…見てないで止めて下さい」


唯一、このくだらない争いに参加して
いない藤乃先輩に助けを求める。が。


『おもしろいよ?』

「………」


私の周りには敵しかいないのか。