————…2週間前。
「私、写真部に入るね」
そう、気まぐれに夏に告げたのは既に
入部した後のことで。
入るね、と言いながらの事後報告に
可笑しいなと感じながらも夏の反応を
待った。
『…部?悠が部活に入るの?あの悠が?』
なんだこの言われよう。
「正確にはもう入ってる」
『は?何それ聞いてない』
「いま言ったんだもん」
『へー。…………“今”ねえ』
小首を傾げながら私の顔を覗き込む夏。
そして無表情に戻り、細微に不機嫌な
それを声に孕ませた。
「えっと…あの。……ごめん」
見つめる視線に耐えれなくて思わず謝る。
別に悪いことをしたわけじゃないのに…。
『はーる』
夏の呼びかけに下げてた視線を上げると…どうしてだか私を見て微笑む彼。
『別に怒ってないよ。怖かった?
ごめんね』
言葉と共に降ってくるのはあたたかな手。ほっと無意識に息を吐いていた。
『はは、かーわい』
「……意味わかんない」
乗せられた手で頭をくしゃくしゃに
される。
「ちょっと、髪…!」
『俺の言葉で一喜一憂する悠を見るの
って楽しい』
何、さらりと最低発言してんだ。
乱れた髪を手ぐしでなんとか整えながら、夏に非難の眼差しを向ける。
『ん?』
「うざい」
『塞ぐ』
身の危険を察知して咄嗟に唇を隠す。
『嘘だよ』
その意地悪な笑い方にまた腹が立った。

