—————…
『悠』
ノック音とともに響く莉央の声。
帰ってきて早々に私は寝室に籠った。
“ちょっとだけ…寝てくるね”
そう告げて。
それから1時間くらい経って莉央から
声がかかった。
「………」
『悠、入るよ?』
がちゃっと静かに開いたドアに視線を
向ける。
「返事してないのに」
『ここは俺の部屋でもある』
「……」
それは…そうなんだけど。
ベッドに横になって枕に顔を埋める。
スプリングが軋む音がしてベッドが少し
沈んだと思ったら頭にぽんっと置かれる
慣れ親しんだ手。
『どうしたの?』
「…なにが?」
『そのなに、を聞いてるんだけど?』
「意地悪な質問」
クスクスと吐息で笑う莉央を寝転がり
ながら見上げた。
「………ねえ」
『なに?』
「…………アルバム見たい」
私は、私たちの中のルールを破った。
きっとそれは、莉央にとっての鎖で、
私にとっての、———…罪だ。

