『————悠』
———ハル。
その声はどこか哀しげで、
それでいて愛しさを孕んだ声だった。
「…なに?」
そう返した声のなんて無感情なことか。
言葉を発した自分が一番驚いた。
やってしまった。と後悔したが
『こっち来てよ』
私の動揺に気付いていない彼の声に
静かに息を吐く。
「……」
冷たいフローリングに足を滑らせベット
から伸ばされた手にゆっくりと
自分の体温を重ねた。
『冷たい』
困ったように笑う彼の顔を、
まっすぐ見れない。
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