桜が舞う、4月の日。

こげ茶の長い髪をなびかせ、長い桜のトンネルを歩く光里(ひかり)は、高校1年生 。

「光里ー。」

「あっ、美咲(みさき)。おは__きゃっ!」

誰かが物凄い勢いで、あたしの隣を通り過ぎた。

『っと、悪ぃなっ!』

彼は言い残すと、再び桜の下を通り過ぎて行く。

「だ、大丈夫?」

「うん、何とか。」

「にしてもさぁ…さっきの人、かっこよくなかった?」

言われてみれば。


少ししか見えなかったけど、そのシルエットや顔立ちは、とてもハッキリしていた。