数分してから、菜々子が店内に入ってくるのが見えた。



おさげなし、眼鏡なしの菜々子は、

男の店員さんににこやかにほほ笑みかけている。



ああ、店員さん菜々子に釘付けだろうな。




店員さんに連れられながら、菜々子は私の真正面に座った。



「ドリンクバーひとつ」



そう菜々子は言って、カバンから携帯を取り出した。




この間まで、私と菜々子は一言も喋っていない。