「授業はじめんでー」
あれから、南の授業が楽しみでしょうがない。
南は授業中、いつも暇になると私に絡んでくる。
「できてんのかぁ〜こら。」
「できてるしー!ほれ!」
「ん?...ぶっ(笑)お前めっちゃ間違えてるやんけ(笑)」
「えっ!?うそ!」
「こことここ。まだまだやな(笑)今日も待ってますぜ、遅れんように。」
「はいはい、分かりましたよ!行けばいーんでしょー!!」
そんな憎たらしい口を聞きながらも、内心は全然嫌じゃなかった。
「沙奈、あんた達デキてんの?(笑)」
「は!?デキてないよ!!」
「デキてるようにしか見えないんですけど...」
「無い無い無い無い!!!あいつ…彼女いるし。」
そう言った途端、なんか急に胸が苦しくなって
泣きそうな気持ちになった。
「恋だよ。」
「恋じゃないよ!!!」
「恋だよ。南先生の事見たら、胸がキュンってするんでしょ?それに、彼女さんの事考えたら胸が苦しくなる。それ恋だよ!」
「んー。多分ね、ストレスなんだと思う!」
「ストレス?」
「うん、私。英語嫌いだし!」
「そういう事なの?」
「そうそう!絶対ないよー!あんなのに恋するなんて!(笑)」
「...んーそうかなぁ。まぁいいや。頑張りなね。」
「うん!!よしっ、行ってくる!」
恋じゃない。
その時はまだ、そのことに気づかなかった。
ううん、気付きたくなかった。
南には、大切な人がいるから。
